食品新聞連載(13)
2020年1月17日掲載 1面です。
書き下ろし原稿は下記からご確認ください。
食品を世界で広く売るには、食品添加物のグローバル対応をしておく必要がある。
営業先は国内の食品輸出商社か海外のディストリビューターとなるが、国内で大手食品輸出商社に営業する際には、どんな商品であっても商品登録前に使用添加物を確認される。日本と海外は使用できる食品添加物が異なるため事前に食品添加物の確認を受ける訳である。その上でどの国に輸出できるのか確定される訳である。
そのため商品仕様書の原材料情報の提出が義務付けられる。そして、具体的な食品添加物名を提示する必要がある。その後製造工程表の提出も依頼される。貿易において商品の輸出入は「HSコード」によって管理される。商品名称コードシステム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)に基づいて定められた番号である。この番号を確定するには製造工程の情報が必要なのである。
そのため原材料成分と製造工程は英語で作成しておくと輸出の話が早く話が進む。しかし、日本国内の食品メーカーには自社がどんな食品添加物を使用しているか知らない方が多い。
食品添加物メーカーや添加物卸から原料を仕入れ、その際に一括表示で使用する表示を教えてもらう食品メーカーが多いため、実際自社がどんな添加物を使っているか知らないのである。
食品添加物の輸出入はINS番号で管理されることが多い。
INS番号について簡単に説明しておくが、それにはCodexから説明する必要がある。Codex(コーデックス規格)という名前を聞いたことがある方は多いと思う。
Codexは世界で唯一通用する食品規格で、1962年国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)で国際的な食品規格をつくることが決まり、策定されたもので正式にはコーデックス・アリメンタリウス(Codex Alimentarius)というラテン語で食品規格という意味をもつ食品のグローバルな規格である。
現在、世界的に通用する食品規格はこの規格・Codexだけと言われている。
INS番号(INS NO.)とはCODEXの食品添加物の国際番号システム(International Numbering System for Food Additives)のことである。そのため食品を海外に輸出する際には、食品添加物をINS番号で管理する傾向にある。
INS番号とほぼ同じ番号を使用するEU式のE番号や、米国式のCFR番号もあるためEUや米国に輸出する場合はそちらの提示が求められることもあるが、少なくとも使用している食品添加物のINS番号を知っておく必要がある。
また、香料はEU式のEU FL番号や米国式のCAS番号で管理されることがある。欧米では食品添加物と香料は分けて管理されているためである。少なくとも欧米で使用が認められている香料を使って商品開発を進めたい。そうしないと欧米に輸出できなくなる。
要は、日本と海外では使用できる食品添加物は異なり、国内向けに作った商品を広く海外に輸出できるとは限らないのである。海外のディストリビューターや小売や飲食チェーンからすれば、そもそも自国に輸入できるかどうか分からない商品を営業されるのは甚だ迷惑な話である。しっかり海外向けに商品開発をして、自国に対応した食品を紹介して欲しいと海外のディストリビューターは考えている。
その準備を全て飛ばして、展示会で行政に紹介された海外のディストリビューターに日本で売っている商品をそのまま営業し、添加物情報の提示を求められ、INS番号が分からず、あえなく初回商談で撃沈する食品メーカーが後を絶たないのである。この食品添加物のグローバル対応が海外攻略のキモとなる。
そして多くのディストリビューターから「なぜ、日本の行政はそういう添加物教育や賞味期限教育をしないでマッチング支援ばかりしているのか?山崎に教育してもらいたい!」そう何度も海外のディストリビューターから私は話を受けてきたのである。イオン在社時に行政の上の方々10人くらいからヒアリングをされこの話をしたが全く無視をされた経験がある。
具体的にどうすれば良いのか、という話であるが、主要国で使用が認められている食品添加物を使って商品開発をすれば良いだけである。そんな食品添加物のグローバル対応をするための「食品添加物グローバル対応ガイドライン」を食品メーカー・食品卸向けに当社は作成をしている。
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